地獄とはこの世のことなのか?

松原泰道という方の「法句経入門」を読みました。
法句経は詩歌を用いた教えとのことで、仏教初心者にもやさしい感じを受けました。


この中で地獄についての考察があったのですけど。
「地獄とは悪の結果ではなく、未来の予言である」という考察がとても面白く感じました。
地獄って悪いことをすると死んだあとにそれに応じて火あぶりになったり針の山を歩かされたりするものと思いがちですが、実は今生きている人生において地獄は存在するよ!というお話。


例えば餓鬼道なんかだと、食べ物に対する欲望が強かったものが、食べ物を口にするとそれが燃えてしまうという地獄に落ちます。
ひたすら食べ物を求めて火の山を歩き回り、見つけたなら奪い合い、やっと手に入れたと思ったらそれが火になってしまう・・・


お金だ、権力だ、あれが欲しい、これが欲しいと欲望ばかり追い求める人がいます。
手に入らぬことを悩み、人と奪い合い、手に入ったら入ったらで失ってしまったとき死ぬような苦しみを感じる。
まさに餓鬼道の様子そっくりです。


我々はすでに地獄のなかにいて、悪を働けば生きながらにして地獄の責め苦を受けるのです。
しかも何者かに裁かれるのではなく、あくまで自分自身の行動の結果としてです。
これはなかなか生き方を考えさせられる話だと思いました。